法定後見では家族が後見人に選ばれるとはかぎらない
成年後見制度が始まった当初は、本人の配偶者や子どもなどの親族が法定後見人になる
ケースが7〜8割を占めていましたが、現在は、申請された後見人候補者の中に親族が
入っていても、弁護士や司法書士など親族以外の職業後見人を裁判所が選任するケース
が多くなりました。(法定後見人となった親族による「使い込み」があまりに多かった
ことが理由です。)
財産が少ない場合には親族が後見人に選ばれることもありますが、例えば関東の都市部
では、預貯金が500万円程度ある場合には専門家が後見人に選ばれることが多いで
す。
申立て時の親族などの候補者以外の専門家が後見人や後見監督人に選任される条件につ
いては、以下のとおりです。
成年後見人等になることができない人
□未成年者
□成年後見人等を解任された人
□破産者で復権していない人
□本人に対して訴訟をしたことがある人、その配偶者又は親子
□行方不明の人
候補者以外の専門家や成年後見監督人等が選任される可能性がある場合
□親族間に意見の対立がある場合
□預貯金や有価証券の額や種類が多い場合
□不動産の売買や生命保険金の受領など、申立ての動機となった課題が重大な法律行
為である場合
□遺産分割協議で本人の代理をしてもらう場合
□従前、後見人候補者と本人との関係が疎遠であった場合
□賃料収入など、年によっては大きな変動が予想される財産を保有するため、定期的
な収入状況を確認する必要がある場合
□後見人等候補者と本人の生活費等が十分に分離されていない場合
□後見人等候補者が自己または自己の親族のために本人の財産を利用(担保提供を含
む)し、または利用する予定がある場合
□後見人等候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行えない、また
は行うことが難しい場合
□本人の財産状況が不明確であり、専門職による調査を要する場合 など
参考:
「成年後見申立ての手引き〜東京家庭裁判所に申立てをする方のために〜」
(H26年3月)東京家庭裁判所