成年後見人の仕事
ついて説明します。
簡単に言うと、以下のとおりです。
*自己決定の尊重
本人の自己決定を尊重し、現有(残存)能力を活用する。
*身上配慮義務
本人の状況を把握し配慮する。
*ノーマライゼーション
家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作る。
後見人の大きな仕事は、被後見人の「財産管理」と「身上監護」です。
<<財産管理の実際は?>>
財産管理は大別すると以下の3点が中心となります。
@現金や預貯金、有価証券などの現金同等物の管理
A不動産(居住中の自宅や名義保有する別荘や収益物件)の管理
B動産類(車やクルーザーなど)の管理
本人の意思や認知症発症前の記録や発言を参考にして、後見人が判断していきます。
基本的に、預貯金や銀行・証券口座などは後見人が通帳などを預かり管理します。
多すぎる口座は数を絞ったり、光熱費などの支払いを口座引き落としにするといった
こと、家賃や介護施設への利用料金の支払い、病院や薬局への支払いといったことは
後見人が行います。
年金や収益不動産から上がる家賃など、収入面も後見人が管理します。家計簿や現金
出納帳をこまめにつけ、「入りと出」に不正や食い違いがないか等、丁寧に記録・管
理することが望まれます。
また、日常の安価な支出(買い物等)のための数万円程度の現金や電子マネーなど
を、被後見人に渡しておく必要もあります。(支出を定期的に記録し、適宜補充もし
ます。)
<<財産管理の主な仕事内容>>
@生活プランの作成
A家計簿や生活記録をつける
B施設や病院への支払いを行う
C年金などの収入を管理する
<<身上監護の実際は?>>
身上監護について、具体的には以下のようなことを行っていくことになります。
@通院、入院の手配や契約
A介護施設の選定や施設への入所などの契約、サポート
B住所変更などの登記変更、家庭裁判所への報告
※@・Aについては、普段からお世話になっている地域のケアマネージャーなどと
連携して必要な情報を共有することも欠かせません。
身上監護という言葉には、被後見人に寄り添ってかいがいしく世話を焼くというイメ
ージがありますが、「良かれ」と思ってもできないこともあります。
具体的には以下のような行為となります。
*介護や介助
食事や排せつ等の介助や清掃、病院等への入院の際の介助等はヘルパーなどの専
門家に委ねます。
*日用品の購入
食料品や日用品の購入には、後見人等の同意を必要としません。本人や親族、ヘ
ルパーなどに委ねます。
*医療行為の代諾
病気や怪我の治療に当たり、医師から判断や同意を求められても、これは後見人
の事務の範囲ではありません。
*身元保証人・身元引受人・入院保証人等になる
福祉施設の入所契約の際に身元保証人が必要となりますが、これらは後見人の事
務の範囲に含まれていません。