遺言書作成についてのQ&A
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遺贈と相続の違いって? | |
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遺贈とは、遺言によって遺言者の財産の一部または全部を無償で贈与すること をいいます。 したがって、遺贈は遺言書がなければ効力が発生しないのに対して、相続は遺 言のあるなしに関係なく誰かが死ねばその瞬間に当然に発生するという点が遺 贈と相続の違いです。 遺言書で誰かに財産を譲る場合に、「遺贈する」と表現する場合と「相続させ る」と表現する場合があります。「遺贈する」という表現は、譲る相手(受遺 者)には特に制限はなく誰に対してでも(相続人に対しても使用することがで きます)することができます。 これに対し「相続させる」という表現は、相手が相続権のある相続人でなけれ ばすることができません。 つまり、法定相続人以外に対しては「遺贈する」としか書けませんが、法定相 続人に対しては「相続させる」・「遺贈する」共に書けるということになりま す。しかし、法定相続人に対しては必ず「相続させる」と書くことをおすすめ します。その理由は、例えば下記のようなことがあるからです。 @不動産の登記手続き 「遺贈する」と遺言に書いた場合、遺贈を受ける者は他の法定相続人全員と 共同で所有権移転の登記申請をしなければなりません。 このため法定相続人全員の印鑑証明書等が必要となり、時間と手間がかかり ます。万一相続人間で争いが起きた場合には、他の相続人から協力が得られ ず登記手続きが進まない恐れもあります。 ※遺言執行者がいる場合は、遺言執行者と受遺者が共同で登記申請できま す。 ※「相続させる」遺言の場合は、指定された相続人が単独で所有権移転の登 記申請をすることができます。 A借地権・借家権の取得 「遺贈する」遺言では、賃貸人の承諾が必要となりますが、「相続させる」 遺言では、賃貸人の承諾は不要です。 |
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検認を受けずに自筆証書遺言を開封してしまったら? | |
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家庭裁判所外で封印してある遺言書を開封すると、5万円以下の過料に処せら れます。 もっとも、開封の有無と遺言書の有効性は別問題です。開封してしまった場合 でも検認の申立てはできるので、遺言を執行するためには、検認を申立ててく ださい。 |
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自筆証書遺言を訂正する場合は? | |
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遺言書は一定の要式を備える必要がありますが、訂正方法につては改ざん防止 のため一層厳格な基準が設けられています。 @「第〇項」や「第〇行目」などの表示により訂正の場所を指定します。 A訂正前の内容が読めるよう2本線を引きます。 B欄外または末尾に変更した旨を附記(「何字加入何字削除」という附記)し て署名します。 C変更した場所に遺言書と同じ印で押印します。 ※本人以外の方が遺言書の訂正をすると、遺言書の改ざんとしてその相続につ いては欠格者となってしまうので、ご注意ください。 |
[Q] |
生前に遺言書の内容と異なる処分がされた場合は? | |
[A] |
遺言書を作成した後、遺言内容と異なる生前処分が行われた場合には、その生 前処分によって遺言内容と抵触する部分については、遺言を撤回したものとみ なされます。 |
[Q] |
何歳から遺言ができる? | |
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遺言は民法によって定められている法律行為です。一般の法律行為とは異な り、満15歳以上であれば、所定の方式に従い有効な遺言ができます。 |
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遺言の内容を取り消すには? | |
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遺言者はいつでも自由に遺言の全部または一部を撤回することができます。 前の遺言の内容を取り消すためには次の方法があります。 @遺言による方法 以前の遺言の全部または一部を撤回する遺言をする方法で、前の遺言のう ち、撤回部分は初めからなかったものになります。 A前の遺言と抵触する新しい遺言をする方法 抵触する部分については新しい遺言が優先され、前の遺言のうちの抵触部 分は新しい遺言により撤回されたものとみなされます。 ※遺言を撤回する権利を放棄することはできず、たとえ遺言書に撤回しない 旨を記載してもこれに拘束されることはありません。 |
※税金について、詳しくは税理士に相談しましょう。
※登記について、詳しくは司法書士に相談しましょう。