探偵業開業後の義務・罰則等
探偵業開始届出書の提出が無事終わり探偵業の事業を開始した後も、やらなければな
らないこと(義務)ややってはいけないこと(禁止事項)があります。
以下の事由に抵触すると、最悪の場合、廃業に追い込まれることがあります。
罰則等をよくよく理解したうえで、探偵業の事業を行うようにしましょう。
●やらなければならないこと(義務) |
---|
1 依頼者から『利用目的確認書(誓約書)』の取得(7条)
⇒ 依頼者から、「調査結果を犯罪・違法行為等に用いない」旨を誓約した書
面の交付を受ける義務があります。
2 契約前・後に依頼者に『重要事項説明書』を交付・説明する(8条)
⇒ <<契約前>>
a 探偵業者の商号、名称または氏名および住所(法人の場合は代表者
氏名も必要)
b 届出証明書に記載されている事項
c 探偵業務を行うにあたっては、個人情報保護法その他の法令を遵守
する旨
d 法第10条(秘密の保持等)に規定する事項
e 提供することができる探偵業務の内容
f 探偵業務の委託に関する事項(業務を他者に委託することがあるか
否か、あれば委託内容)
g 依頼者が支払う金銭の概算額および支払い時期
h 契約の解除に関する事項(契約解除についての定めがあるか否か、
あればその方法・内容)
i 業務上作成・取得した資料の処分に関する事項(処分するのか否
か、する場合は処分方法・時期)
<<契約後>>
a 探偵業者の商号、名称または氏名および住所(法人の場合は代表者
氏名も必要)
b 契約締結を担当した者の氏名および契約年月日
c 調査の内容、期間および方法
d 調査の結果報告の方法および期限
e 契約前書面fの事項に定めがあるときはその内容
f 依頼者が支払う金銭の額ならびにその支払い時期および方法
g 契約前書面hの事項に定めがあるときはその内容
h 契約前書面iの事項に定めがあるときはその内容
3 秘密の保持等(10条)
⇒ 正当な理由なく、業務上知り得た人の秘密の漏えい禁止(探偵業者の業務
に従事するものでなくなった後においても同様)、探偵業務に関しての文
書・写真その他の資料について、不正または不当な利用を防止するための
措置を講ずる義務があります。
4 使用人・従業員に対する教育(11条)
⇒ 従業員等に対し、探偵業務を適正に実施させるため必要な教育を実施する
義務があります。
5 従業員名簿の備え付け(12条)
⇒ 営業所ごとに使用人その他の従業員の名簿を備え、下記の必要事項の記載
義務(退職した日から3年間保管義務)があります。
<<必要事項>>
・ 氏名
・ 住所
・ 性別および生年月日
・ 採用、退職年月日および従事させる業務内容
・ 写真(3年以内、無帽、正面、上三分身)
6 探偵業届出証明書の営業所内での掲示(12条)
⇒ 営業所の見やすい場所に掲示する義務があります。
依頼者は契約を営業所で行う場合、届出業者は否かを掲示してある届出証
明書で確認し、違法業者かどうかを判断することができます。
●やってはいけないこと(禁止事項) |
---|
1 名義貸しの禁止(5条)
⇒ 届出をした者は、自己の名義を他人に貸して探偵業を営ませてはなりませ
ん。
2 個人の権利を侵害すること(6条)
⇒ 他の法令において禁止または制限されている行為ができるものではありま
せん。人の生活の平穏を害する等、個人の権利利益を侵害することがない
ようにしなければなりません。
つまり、調査のためであれば何でもやっていいわけではありません。
3 調査結果の悪用が分かっているのに探偵業務を続けること(9条)
⇒ 探偵業務に係る調査の結果が、犯罪行為や違法な差別的扱い・非違事案に
用いられることを知ったときは、当該探偵業務を禁止しなければなりませ
ん。
4 探偵業者以外の者に業務を委託すること(9条)
⇒ 探偵業務の探偵業者以外への業務委託をしてはなりません。
●公安委員会の立ち入り等 |
---|
1 報告および立入検査(13条)
⇒ 公安委員会は、必要な限度において探偵業者に対し報告や資料の提出を求
め、または警察職員に営業所に立ち入り、検査させ、もしくは関係者に質
問をさせることができます。
2 指示(14条)
⇒ 公安委員会は、探偵業者がこの法律または探偵業務に関し他の法令の規定
に違反したとき等で、適正な運営が害されていると認めたときは、必要な
措置をとるべきことを指示できます。
3 営業の停止等(15条)
⇒ 公安委員会は、探偵業者がこの法律または探偵業務に関し他の法令の規定
に違反した場合において、業務の適正な運営が害されると認められると
き、または指示に違反したときは、当該営業所における探偵業務について
6月以内の期間を定めて、その全部または一部の停止を命ずることができ
ます。
公安委員会は、法第3条(欠格事由)各号のいずれかに該当する者が探偵
業を営んでいるときは、その者に対し営業の廃止を命ずることができま
す。
●罰則 |
---|
該当行為 | 根拠法 | 罰則内容 | |
条 | 号 | ||
営業停止命令・営業廃止命令に違反(15条違反) | 17 | 1年以下の懲役 または100万円以下の罰金 |
|
無届出営業(4条1項違反) | 18 | 1 | 6月以下の懲役 または30万円 以下の罰金 |
名義貸し違反(5条違反) | 2 | ||
指示命令違反(14条違反) | 3 | ||
虚偽の届出・虚偽の添付書類の提出(4条1項違反) | 19 | 1 | 30万円以下の 罰金 |
廃業届・添付書類未提出虚偽の廃業届・ 添付書類提出(4条2項違反) |
2 | ||
重要事項説明書・調査委任契約書の未交付、 虚偽の重要事項説明書・調査委任契約書の交付 (8条1・2項違反) |
3 | ||
従業員名簿の未設置、探偵業届出証明書の未掲示、 必要事項未記載・虚偽の従業員名簿の設置 (12条1項違反) |
4 | ||
公安委員会に対する報告違反、資料の未提出、 虚偽報告、虚偽資料の提出、立入検査の拒否・妨害・ 忌避(13条違反) |
5 |
※上記罰則には、行為者の他、行為者の雇い主にも適用されます。(20条両罰規定)