事実婚契約書
事実婚をして夫婦になることや、お互いに負うことになる義務などについて契約書
を作成して確認しておくことは、二人が共同生活を円滑に送るうえで役に立ちま
す。
事実婚を始めるときに双方が婚姻の意思を持ったうえで共同生活をすることに合意
し、夫婦間の具体的な権利や義務を確認しておく手続きとして、「事実婚契約書」
を作成しましょう。
夫婦であることを証明することが一般的に難しい事実婚について、契約書によって
その事実を第三者に対して示すことも可能になります。
<<事実婚契約書を作成するメリット>>
@ 作成する過程で、お互いの価値観や考えをすり合わせることができる。
A お互いが婚姻意思をもって夫婦として共同生活を営むことを証明できる。
B 二人がいつから事実婚関係にあるかを証明できる。
C 第三者への対外的な証明に用いることができる。(絶対ではありませんが。)
D 医療行為の委任の証明に用いることができる。(絶対ではありませんが。)
E 不貞行為があった場合の慰謝料の支払いや、事実婚解消の際の財産分与につい
て明確にできる。
など
<<事実婚夫婦の権利・義務>>
夫婦には法律(民法)で定められている義務や権利があり、これらを守らなければ
なりません。これは、法律婚の夫婦も事実婚の夫婦も同様です。
具体的には以下のようなものがあります。
@ 同居・協力・扶養義務(民法752条)
夫婦は同居し、お互いに協力し、助け合って生活しなければなりません。
A 共同生活のための婚姻費用の分担(民法760条)
共同生活に必要となる費用(婚姻費用といいます。)は、夫婦の収入や資産
に応じて分担します。
B 日常家事に関する債務の連帯責任(民法761条)
日常の家事について夫婦の一方が第三者と法律行為(日常の買い物等)をし
たことにより負担した債務については、他方も連帯して責任を負います。
C 帰属不明の財産の共有推定(民法762条2項)
ある特定の財産が夫婦のどちらに属するのかがはっきりとわからない(不
明)の場合は、夫婦の共有に属するものと推定されます。
D 離婚の際の財産分与請求権(民法768条)
事実婚なので離婚ではなく、事実婚解消として読み替えます。
財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を離婚(事実婚解消)時
にその貢献度に応じて清算することです。
E 貞操義務(民法770条1項)
不貞行為は貞操義務に反する行為です。不貞行為が離婚自由とされているこ
とから、夫婦はお互いに貞操義務を負うとされています。
<<事実婚契約書に盛り込んだほうがよい内容>>
事実婚契約書の内容はパートナー間で自由に決めることができますが、最低限、パ
ートナー間に直接影響を与える可能性のある重要な事項については、契約書に記載
する必要があると思います。
具体的には、先述した夫婦間の権利・義務に関することとなります。
@ 婚姻の意思の合致
A 夫婦としての実質を伴っていること(同一生計・同一居所など)
B いつから事実婚関係になったのか
C 不貞行為があった場合の慰謝料の支払い義務
D その他婚姻中の生活に関すること
E 関係解消時の取り決め
など